息子のまなざし
息子のまなざし
ジャン=ピエール・ダルデンヌ(脚本)
リュック・ダルデンヌ(脚本)
東北新社
グループ:DVD /ランキング:15644
価格:¥ 2,625
発売日:2006-10-27 /通常24時間以内に発送
ジャン=ピエール・ダルデンヌ(脚本)
リュック・ダルデンヌ(脚本)
東北新社
グループ:DVD /ランキング:15644
価格:¥ 2,625
発売日:2006-10-27 /通常24時間以内に発送
カスタマーレビュー
おすすめ度:
この映画には音楽というものがない
(2008-03-25)
この映画には音楽というものがない。タイトルバックでさえ、である。
静謐の内に物語りは進み、感情が爆発しそうになったのは、別れた妻が
二人の前に現れた際と衝撃の事実をオリヴィエが告白した直後だけである。
しかし、最後はまるで何もなかったように音のないまま物語りは閉じる。
その後のふたりも、きっと最小限の会話のまま木工訓練を続けるのだろう。
特典映像を見ると、ダルデンヌ兄弟は異常なほど細部まで計算しつくして
この作品を創っている。はじめ主人公は料理人の設定だったが、包丁や
肉などが先入観を与えるから大工に変更したという。ふたりの媒体が冷たく
硬く単純な直方体である「木材」というのも正解だったように思う。
そういえば二人自身も、まるで舟越桂が彫った木像のような佇まいである。
本当に我が子を殺された父親がこのような態度になれるのか私には疑問で、
星をひとつ減らす評価とした。
「息子のまなさし」とは誰のまなざしなのか?
(2007-04-01)
何もないのがいいなと思いました。派手さも押し付けも何もない・・・。主人公は大工見習いの少年たちに基礎を教える講師。離婚した妻は再婚し、新しい命を授かったところ。一人孤独に日々をすごし、何気ない毎日を静かに過ごす主人公のもとに、ある少年が訓練生としてやってくる、ごく普通のさえない、平凡な男に思われた主人公に実は隠された過去があり、どうやらそれは少年の過去とつながっているようだ。少しずつ深まる謎と、少しずつ明かされるお互いの過去。平凡な日常でありながら、決して満たされることのない傷を背負って生きている人達はきっと世の中にたくさんいる、主人公は少年の出現によって、日常に波紋を投げかけられ、気持ちをかき乱されるけど、ほんとはそんなきっかけを掴むことは難しいことなのかもしれない。この映画は、ともすれば非現実的な話なのかもしれない。綺麗すぎるかもしれない。息子を殺した少年を前に、人は冷静でいられるのか、その人間を受け入れることができるのか、それとも怒りにまかせてしまうのか・・・。その立場にたって見なければわからないけれど、でも、オリビエが言う「わからない」という一言が真実なのかもしれない。狂気の沙汰であっても、ほんとのところ、人はただ黙って、ただ見つめるだけなのかもしれない。以前、娘を殺された両親が加害者の少年たちに面会を求める運動を行っていたのをテレビでみました。「なぜ娘が殺されたのか、その理由を知りたい」ただその思いひとつで闘っていました。納得のいく答えは得られなかったけれど、それでも満足だと両親は語っていました。オリビエと少年の間に揺れた感情の糸はこれからどうなっていくのか・・・。彼らは何かを掴むことができたのだろうか・・・。
復讐も、和解も、激しい怒りも、死も、答えも、何もないのがいいなと思う映画でした、
お互いが感情を見せ合ったあとの、ラストシーン、黙って車に積んだ材木にシートをかける2人がとても良かった。手にしたロープが印象的でした。
復讐か、教育か
(2006-08-09)
主人公オリヴィエは、職業訓練校で木工の教師をしています。そこにある日一人の少年が入学してきます。この少年の入学を知り、オリヴィエは動揺します。なぜなら少年とはある因縁をもっているからです。ここから映画が始まります。
オリヴィエは少年とどう接すればいいかわからない。相手を自分の監理下に置き、まさぐるような視線で少年を視ます。オリヴィエはただ少年を知りたい。知ってどうなるか、それは彼にもわかっていません。そのため彼の行動は理解しがたいものに見える。
オリヴィエは少年が両親から見放されており、教育されていないことを知ります。少年はオリヴィエと同じく孤独です。少年は生きるために木工の技術を学び、自立しなければなりません。少年は教育を必要としています、それゆえオリヴィエに敬意を持って師事します。教師と生徒という関係は、少年が身元の引受を依頼することで、更に深いものになります。
人は目の前にいる相手をどのように否定するのでしょうか。否定できないならば、どのように断念するのでしょうか。自分の前に教育を必要としている少年がいる、オリヴィエはこの事実をどのように受け止めるのでしょうか。オリヴィエが教育を引き受けるのならば、もはやそれは木工の技術を教えることには留まらないでしょう、彼は何をどのように教えるのでしょうか。二人は映画が伝えるやりとりの後、どのような関係をもつのでしょうか。この映画はこのような「映画以後のこと」を考えさせる、優れた映画だと思います。
おすすめ度:
この映画には音楽というものがない
この映画には音楽というものがない。タイトルバックでさえ、である。
静謐の内に物語りは進み、感情が爆発しそうになったのは、別れた妻が
二人の前に現れた際と衝撃の事実をオリヴィエが告白した直後だけである。
しかし、最後はまるで何もなかったように音のないまま物語りは閉じる。
その後のふたりも、きっと最小限の会話のまま木工訓練を続けるのだろう。
特典映像を見ると、ダルデンヌ兄弟は異常なほど細部まで計算しつくして
この作品を創っている。はじめ主人公は料理人の設定だったが、包丁や
肉などが先入観を与えるから大工に変更したという。ふたりの媒体が冷たく
硬く単純な直方体である「木材」というのも正解だったように思う。
そういえば二人自身も、まるで舟越桂が彫った木像のような佇まいである。
本当に我が子を殺された父親がこのような態度になれるのか私には疑問で、
星をひとつ減らす評価とした。
「息子のまなさし」とは誰のまなざしなのか?
何もないのがいいなと思いました。派手さも押し付けも何もない・・・。主人公は大工見習いの少年たちに基礎を教える講師。離婚した妻は再婚し、新しい命を授かったところ。一人孤独に日々をすごし、何気ない毎日を静かに過ごす主人公のもとに、ある少年が訓練生としてやってくる、ごく普通のさえない、平凡な男に思われた主人公に実は隠された過去があり、どうやらそれは少年の過去とつながっているようだ。少しずつ深まる謎と、少しずつ明かされるお互いの過去。平凡な日常でありながら、決して満たされることのない傷を背負って生きている人達はきっと世の中にたくさんいる、主人公は少年の出現によって、日常に波紋を投げかけられ、気持ちをかき乱されるけど、ほんとはそんなきっかけを掴むことは難しいことなのかもしれない。この映画は、ともすれば非現実的な話なのかもしれない。綺麗すぎるかもしれない。息子を殺した少年を前に、人は冷静でいられるのか、その人間を受け入れることができるのか、それとも怒りにまかせてしまうのか・・・。その立場にたって見なければわからないけれど、でも、オリビエが言う「わからない」という一言が真実なのかもしれない。狂気の沙汰であっても、ほんとのところ、人はただ黙って、ただ見つめるだけなのかもしれない。以前、娘を殺された両親が加害者の少年たちに面会を求める運動を行っていたのをテレビでみました。「なぜ娘が殺されたのか、その理由を知りたい」ただその思いひとつで闘っていました。納得のいく答えは得られなかったけれど、それでも満足だと両親は語っていました。オリビエと少年の間に揺れた感情の糸はこれからどうなっていくのか・・・。彼らは何かを掴むことができたのだろうか・・・。
復讐も、和解も、激しい怒りも、死も、答えも、何もないのがいいなと思う映画でした、
お互いが感情を見せ合ったあとの、ラストシーン、黙って車に積んだ材木にシートをかける2人がとても良かった。手にしたロープが印象的でした。
復讐か、教育か
主人公オリヴィエは、職業訓練校で木工の教師をしています。そこにある日一人の少年が入学してきます。この少年の入学を知り、オリヴィエは動揺します。なぜなら少年とはある因縁をもっているからです。ここから映画が始まります。
オリヴィエは少年とどう接すればいいかわからない。相手を自分の監理下に置き、まさぐるような視線で少年を視ます。オリヴィエはただ少年を知りたい。知ってどうなるか、それは彼にもわかっていません。そのため彼の行動は理解しがたいものに見える。
オリヴィエは少年が両親から見放されており、教育されていないことを知ります。少年はオリヴィエと同じく孤独です。少年は生きるために木工の技術を学び、自立しなければなりません。少年は教育を必要としています、それゆえオリヴィエに敬意を持って師事します。教師と生徒という関係は、少年が身元の引受を依頼することで、更に深いものになります。
人は目の前にいる相手をどのように否定するのでしょうか。否定できないならば、どのように断念するのでしょうか。自分の前に教育を必要としている少年がいる、オリヴィエはこの事実をどのように受け止めるのでしょうか。オリヴィエが教育を引き受けるのならば、もはやそれは木工の技術を教えることには留まらないでしょう、彼は何をどのように教えるのでしょうか。二人は映画が伝えるやりとりの後、どのような関係をもつのでしょうか。この映画はこのような「映画以後のこと」を考えさせる、優れた映画だと思います。
