植物の生存戦略―「じっとしているという知恵」に学ぶ (朝日選書 821) (朝日選書)
植物の生存戦略―「じっとしているという知恵」に学ぶ (朝日選書 821) (朝日選書)
「植物の軸と情報」特定領域研究班
朝日新聞社
グループ:Book /ランキング:25309
価格:¥ 1,260
発売日:2007-05-10 /通常24時間以内に発送
「植物の軸と情報」特定領域研究班
朝日新聞社
グループ:Book /ランキング:25309
価格:¥ 1,260
発売日:2007-05-10 /通常24時間以内に発送
カスタマーレビュー
おすすめ度:
植物研究最前線
(2008-11-01)
「サイエンスは、何かを解き明かすというより、何がわからないかがわかってくるいとなみです」。
いいタイトルだが、本書のタイトルは、この本の良さの半分しか示せていない。本書を読む醍醐味は、植物の基本的な機能に対してこの本が書かれたときの第一線の研究成果を、それぞれの分野の専門家によってやさしく解説してある点にある。読み進めながら何度か、「おー!」と思った。
FT遺伝子のことは他で読んで軽くは知ってはいたが、本書はかなり突っ込んだ解説があって興味深かった。mRNA搬送の報告をした研究グループの論文のデータの一部に不正があったというエピソードを含めて。根粒菌と菌根菌、道管と師管に関わる様々な遺伝子やザイロジェンやTDIFの話、様々な植物ホルモンの話も面白かった。
最初の方で動物と植物の特徴的な違いを説明して」いるのは親切だ。人間も動物だから、植物についてはどんなにそれが身近な存在であっても案外普段気づいていないこともある。最後の方には「ほぼコシヒカリ」など、直接世の中に役に立つことが簡単に想像できるようなことも登場する。
とてもわかりやすく書いてあるが、本書を十分理解するには、多少の科学の基礎知識は必要であると思われる。いくらか基礎知識に不安を覚える方は、Newton並みにカラーでVisualでわかりやすく書いてある「視覚でとらえるフォトサイエンス 生物図録」あたりを脇において、該当部分の基礎事項を確認しながら読まれてもよいかと思う。
通りすがりのバイオ研究者
(2008-09-24)
第一線で活躍している研究社の方々が各章を分担しているので、
最先端の研究の内容も面白いが、実際に研究者がどの様な
経緯/考え方で日々、研究に取り組んでいるのかも分かり面白い。
特に、花を咲かせたり、受精のメカニズムの仕組みについては、
研究を行ううえでの苦労やそれを解決するための発想方法が
書かれていて、臨場感にあふれている。
今後、この様な本がもっと出版されてもいいのではないかと感じた。
久しぶりに心地よい「研究成果の一般本」を読んだ。最先端の刺激と、わかりやすさとが上手に混じりあっている。
(2007-12-20)
植物研究の最先端の話がわかりやすくて面白い、というほかに、この本を薦めたい大きな理由が2つほどある。研究者の科学的態度が好ましく受けとれること、研究成果の一般への発信方法として優れていることである。
花のつくられ方、植物の受精のメカニズム、根のつくられ方。それぞれの話は遺伝子探求までを含む専門の研究なのであるが、各章、高校教科書レベルの基礎の説明からはじめてあるので親しみやすい。各研究者がその現象、その材料、その方法を選択した理由も書かれていて、研究の発端とはこういうものか、というのがよく伝わってくる。大学院生にはテーマ選びの参考になる話かもしれない。
さらに、大なり小なり、それぞれの研究者の科学の広い視点を示唆する言葉がみつかるのも嬉しい。副題や裏表紙の内容紹介の「じっとしている知恵」や『「動けない」のではなく「動かない」生き方で成功』という発想もその一つである。
「完全に花が出来ない遺伝子条件は見つかっていない」現状も、『「花成しない」突然変異体がないということの中に、ほかならぬ「フェイルセーフ機能」の体現を見ていました。p71」と受け止める。簡単には乱されないようにつくり上げている生き物の真実を積極的に理解しようとする真摯な態度がさわやかでさえある。以前読んだよく売れている生物学の新書で、遺伝子のノックアウト実験が上手く行かないという結果の感想が「自然をむやみにいじってはいけないと痛感した」とあり、ちょっとがっかりしたことを思い出す。科学者もいろいろ、である。
科学研究者の哲学的ともいえる部分が垣間見える文章は、改めて科学は哲学から始まったことまで思い起させてくれた。そうだ、学位のPh.Dとは、「哲学のドクター」だったのだ。
先端の専門研究成果が、一般にもよくわかり哲学的にも広がりを感じる良い内容の本として出来あがった理由のもうひとつはサイエンスライティングが上手に活用されたことかもしれない。この類の本は各担当者がどこかに寄稿した文章の寄せ集めだったり、一般人が読むには難しい専門の話に終始したり、になりがちである。そのあたりの経過はあとがきに詳しいが、ライターとの共同作業で、わかりやすく、しかも最先端の刺激を感じさせる本に短時間で仕上げている。上手に組めば「忙しい研究者の執筆時間を軽減する」だけでなく、読み手のわかりやすさに気を配ることなどが可能になるという良い例になっていると思う。
「特定領域研究」という、文部科学省の補助金を使った研究の成果をまとめた本なのであるが、税金を使った事業の報告義務として、一般国民へのわかりやすい還元の仕方の良い例にもなるのではないだろうか。価格も新書より少し高いぐらいで手も伸ばしやすい。同じように国家予算からの補助金を使っている研究者の方々も、大型の研究プロジェクトの結果はこのような形で一般に報告することを積極的にお願いしたいと思う。数年に一回のことである、そのぐらいの努力はしてほしい。結果報告書を読む審査委員の方々も、長い内部報告書は簡単にして、こういう出版物を報告書の一部してもよい、とするのはいかがだろうか。税金を使っての研究に関係している方には、ぜひこの本を読んで参考にして欲しい。
きわめて上質,しかも読みやすい
(2007-07-21)
植物に関する最先端の研究を,各研究者自身が分担して書いた10章,どの1章をとっても世界的な研究ばかり。しかもどれも読みやすく1章は短いがとてもわかりやすい。高校の生物程度の知識,があれば十分読めるように書かれているが,内容を落としているわけではない。
個人的にはまさについ最近発見され認知されつつあるフロリゲンに関する3章,重複受精の瞬間をとらえた研究の5章,根の共生菌についての7章,頂芽優勢についていままでの知識を覆す9章が特におもしろかった。
他の章も非常におもしろく,知的興奮を覚えるすばらしいこの本は星5個では全然足りません。
非常に良質な選書
(2007-07-04)
非常に良質な選書。動物のように動きがみえない植物にも、このようなダイナミックなミクロな仕組みがあったとは、大きな驚き。
語り口が一貫していてソフト、丁寧、一般人を意識しつつも最先端の取り組みを紹介しているのがうれしい。
選書は一般的に、歴史もの、ハウツーもの、現代社会ものが多いが、このような良質な自然科学ものをおおいに出版しほしい。
おすすめ度:
植物研究最前線
「サイエンスは、何かを解き明かすというより、何がわからないかがわかってくるいとなみです」。
いいタイトルだが、本書のタイトルは、この本の良さの半分しか示せていない。本書を読む醍醐味は、植物の基本的な機能に対してこの本が書かれたときの第一線の研究成果を、それぞれの分野の専門家によってやさしく解説してある点にある。読み進めながら何度か、「おー!」と思った。
FT遺伝子のことは他で読んで軽くは知ってはいたが、本書はかなり突っ込んだ解説があって興味深かった。mRNA搬送の報告をした研究グループの論文のデータの一部に不正があったというエピソードを含めて。根粒菌と菌根菌、道管と師管に関わる様々な遺伝子やザイロジェンやTDIFの話、様々な植物ホルモンの話も面白かった。
最初の方で動物と植物の特徴的な違いを説明して」いるのは親切だ。人間も動物だから、植物についてはどんなにそれが身近な存在であっても案外普段気づいていないこともある。最後の方には「ほぼコシヒカリ」など、直接世の中に役に立つことが簡単に想像できるようなことも登場する。
とてもわかりやすく書いてあるが、本書を十分理解するには、多少の科学の基礎知識は必要であると思われる。いくらか基礎知識に不安を覚える方は、Newton並みにカラーでVisualでわかりやすく書いてある「視覚でとらえるフォトサイエンス 生物図録」あたりを脇において、該当部分の基礎事項を確認しながら読まれてもよいかと思う。
通りすがりのバイオ研究者
第一線で活躍している研究社の方々が各章を分担しているので、
最先端の研究の内容も面白いが、実際に研究者がどの様な
経緯/考え方で日々、研究に取り組んでいるのかも分かり面白い。
特に、花を咲かせたり、受精のメカニズムの仕組みについては、
研究を行ううえでの苦労やそれを解決するための発想方法が
書かれていて、臨場感にあふれている。
今後、この様な本がもっと出版されてもいいのではないかと感じた。
久しぶりに心地よい「研究成果の一般本」を読んだ。最先端の刺激と、わかりやすさとが上手に混じりあっている。
植物研究の最先端の話がわかりやすくて面白い、というほかに、この本を薦めたい大きな理由が2つほどある。研究者の科学的態度が好ましく受けとれること、研究成果の一般への発信方法として優れていることである。
花のつくられ方、植物の受精のメカニズム、根のつくられ方。それぞれの話は遺伝子探求までを含む専門の研究なのであるが、各章、高校教科書レベルの基礎の説明からはじめてあるので親しみやすい。各研究者がその現象、その材料、その方法を選択した理由も書かれていて、研究の発端とはこういうものか、というのがよく伝わってくる。大学院生にはテーマ選びの参考になる話かもしれない。
さらに、大なり小なり、それぞれの研究者の科学の広い視点を示唆する言葉がみつかるのも嬉しい。副題や裏表紙の内容紹介の「じっとしている知恵」や『「動けない」のではなく「動かない」生き方で成功』という発想もその一つである。
「完全に花が出来ない遺伝子条件は見つかっていない」現状も、『「花成しない」突然変異体がないということの中に、ほかならぬ「フェイルセーフ機能」の体現を見ていました。p71」と受け止める。簡単には乱されないようにつくり上げている生き物の真実を積極的に理解しようとする真摯な態度がさわやかでさえある。以前読んだよく売れている生物学の新書で、遺伝子のノックアウト実験が上手く行かないという結果の感想が「自然をむやみにいじってはいけないと痛感した」とあり、ちょっとがっかりしたことを思い出す。科学者もいろいろ、である。
科学研究者の哲学的ともいえる部分が垣間見える文章は、改めて科学は哲学から始まったことまで思い起させてくれた。そうだ、学位のPh.Dとは、「哲学のドクター」だったのだ。
先端の専門研究成果が、一般にもよくわかり哲学的にも広がりを感じる良い内容の本として出来あがった理由のもうひとつはサイエンスライティングが上手に活用されたことかもしれない。この類の本は各担当者がどこかに寄稿した文章の寄せ集めだったり、一般人が読むには難しい専門の話に終始したり、になりがちである。そのあたりの経過はあとがきに詳しいが、ライターとの共同作業で、わかりやすく、しかも最先端の刺激を感じさせる本に短時間で仕上げている。上手に組めば「忙しい研究者の執筆時間を軽減する」だけでなく、読み手のわかりやすさに気を配ることなどが可能になるという良い例になっていると思う。
「特定領域研究」という、文部科学省の補助金を使った研究の成果をまとめた本なのであるが、税金を使った事業の報告義務として、一般国民へのわかりやすい還元の仕方の良い例にもなるのではないだろうか。価格も新書より少し高いぐらいで手も伸ばしやすい。同じように国家予算からの補助金を使っている研究者の方々も、大型の研究プロジェクトの結果はこのような形で一般に報告することを積極的にお願いしたいと思う。数年に一回のことである、そのぐらいの努力はしてほしい。結果報告書を読む審査委員の方々も、長い内部報告書は簡単にして、こういう出版物を報告書の一部してもよい、とするのはいかがだろうか。税金を使っての研究に関係している方には、ぜひこの本を読んで参考にして欲しい。
きわめて上質,しかも読みやすい
植物に関する最先端の研究を,各研究者自身が分担して書いた10章,どの1章をとっても世界的な研究ばかり。しかもどれも読みやすく1章は短いがとてもわかりやすい。高校の生物程度の知識,があれば十分読めるように書かれているが,内容を落としているわけではない。
個人的にはまさについ最近発見され認知されつつあるフロリゲンに関する3章,重複受精の瞬間をとらえた研究の5章,根の共生菌についての7章,頂芽優勢についていままでの知識を覆す9章が特におもしろかった。
他の章も非常におもしろく,知的興奮を覚えるすばらしいこの本は星5個では全然足りません。
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