美しき凶器 (光文社文庫)
カスタマーレビュー
おすすめ度:
ページをめくる手が止まりません!
(2008-11-23)
本作は、「恩人」の殺人現場を目撃した「美しき凶器」による壮絶な復讐譚です。
感情の動きもなく、動機も定かでないまま、
4人のターゲットを追い詰めていく描写は読み応えがあります。
暴走族を始めとする無気力・無軌道な若者のたむろする様子と、
「女ターミネーター」の問答無用な殺戮ぶりが、
倫理的にどうなの?という点を除けば、実にマッチしています。
また、そんな特異な風貌の「美しき凶器」をなかなか逮捕させてくれない、
東京という大都市の無機質ぶりもよく表われていると思います。
ん〜なんだか虚しい・・・
(2008-10-11)
読んだあとの感想は,どの人も浮かばれないな…でした。
過去にドーピングを行った4人のスポーツ選手は,道を間違えたなと思いました。1度は道を間違えてしまっても,2度はやっぱりだめだと思います。佐倉翔子はとんでもない女だと思いましたが,人間の弱くて汚いところが,彼女によって表現されている気がしました。でも,何で彼女だけ助かるの!?とか思ってしまいましたよ。
タランチュラは最初はただただ怖いだけでしたが,最後の一言で,感情を持った女性なんだと感じました。こんな人生を生きたタランチュラは,とても可哀想です。
有介の妻の小夜子は,どこにでもいる普通の女性でしたが,最後に勇気をもって佐倉翔子と戦うところは,健気で強くて美しかったです。妊娠中だったので,やっぱりドーピング効果もあったってことなのかな…
でもやっぱり最後誰も幸せになれないのがとても辛かったです。
怖かった!
(2008-09-26)
小説の活字だけでここまで恐怖が伝わってくるとは思いませんでした。まるで情景が浮かんでくるようでした。でもただ怖いだけでなく、最後は泣いてしまいました。子供が欲しかったんだなって…。
頂点を目指すアスリートが陥った罠―美しき凶器はまさに狂気である!
(2008-06-05)
単行本で刊行されたのが1992年で、文庫版の初版は1997年。その文庫版には、若い日の東野圭吾の爽やかな素顔が載せられている。本書『美しき凶器』は現在も28刷まで版を重ねている。「爽やかさ」から男性としての「渋さ」を醸し出した彼の写真もまた読者の注意を惹くことであろう。但し、内容は爽やかさとはきわめて対極にある。一貫してぞくぞくとした恐怖心を植え付けてくれる。登場人物の一人における心の闇を描いた箇所が端的に示しているように、「恐怖と快楽とは紙一重」なのだ。
読み進めれば直ちに分かるように、表題『美しき凶器』とは、ある外国人女性のことを指している。むろんただの女性でない。肉体的に洗練化されたサイボーグと称してよい(映画『ターミネーター3』に登場した女性を思わず想起したが、その女性のきちんとしたモチーフは存在するらしい)。「主人」を殺害された復讐を果たすべく、全く手段を選ばない彼女の言動はたしかに常軌を逸している。じわりじわりと追い詰められてゆく男女併せて4人の心境を察すると、生きた心地がしなかったであろう(一人だけそうでない人間がいた。その人物の密かな計画も見物だった)。
彼らは元トップアスリートであるが、選手としての追い詰められた状況から禁断の○○に手を染め、それは結果的にその後の人生の歯車を確実に狂わせてゆく。かつての栄光は実は「虚構」に過ぎず、それを真に悟ったときには自らの「死」を代償とせねばならないというわけだ。本書の背景にあるのは、そんな儚く悲しい人生模様の赤裸々な活写ではないのか。とはいえ、そのサイボーグと称された女性が最後の最後で発したセリフは実に人間的であった。東野作品は全体としての読み応えとともに、情緒的なエンディングを多用する印象が私にはある。だから彼の作品は途中で頓挫してはいけないのだ。「時代性」を反映した作品であることも見過ごしてはならないだろう。
映像でも見たい作品
(2008-05-01)
築き上げた地位と名声の為に忌まわしい過去を葬り去ろうする四人の元スポーツ選手が逆に返り討ちに会うとある意味陳腐なストーリー。ただ、驚異的な肉体能力を持ちその四人を狙う娘の登場によって、ミステリーというよりはスリラー小説となった感じがする。実際によく話題になるドーピングも肉体はもちろん精神的な改造も可能するものかとその可能性を感じずにはいられなかった。
物語には最後に一ひねりも二ひねりもあり、盛り上がって結末を迎えるが、娘(タランチュラ)の最後の一言はそれまでなんの感情も表に出さなかったロボットの様な人間の唯一の感情表現であり、娘の悲しい過去を垣間見せられた感じだった。
おすすめ度:
ページをめくる手が止まりません!
本作は、「恩人」の殺人現場を目撃した「美しき凶器」による壮絶な復讐譚です。
感情の動きもなく、動機も定かでないまま、
4人のターゲットを追い詰めていく描写は読み応えがあります。
暴走族を始めとする無気力・無軌道な若者のたむろする様子と、
「女ターミネーター」の問答無用な殺戮ぶりが、
倫理的にどうなの?という点を除けば、実にマッチしています。
また、そんな特異な風貌の「美しき凶器」をなかなか逮捕させてくれない、
東京という大都市の無機質ぶりもよく表われていると思います。
ん〜なんだか虚しい・・・
読んだあとの感想は,どの人も浮かばれないな…でした。
過去にドーピングを行った4人のスポーツ選手は,道を間違えたなと思いました。1度は道を間違えてしまっても,2度はやっぱりだめだと思います。佐倉翔子はとんでもない女だと思いましたが,人間の弱くて汚いところが,彼女によって表現されている気がしました。でも,何で彼女だけ助かるの!?とか思ってしまいましたよ。
タランチュラは最初はただただ怖いだけでしたが,最後の一言で,感情を持った女性なんだと感じました。こんな人生を生きたタランチュラは,とても可哀想です。
有介の妻の小夜子は,どこにでもいる普通の女性でしたが,最後に勇気をもって佐倉翔子と戦うところは,健気で強くて美しかったです。妊娠中だったので,やっぱりドーピング効果もあったってことなのかな…
でもやっぱり最後誰も幸せになれないのがとても辛かったです。
怖かった!
小説の活字だけでここまで恐怖が伝わってくるとは思いませんでした。まるで情景が浮かんでくるようでした。でもただ怖いだけでなく、最後は泣いてしまいました。子供が欲しかったんだなって…。
頂点を目指すアスリートが陥った罠―美しき凶器はまさに狂気である!
単行本で刊行されたのが1992年で、文庫版の初版は1997年。その文庫版には、若い日の東野圭吾の爽やかな素顔が載せられている。本書『美しき凶器』は現在も28刷まで版を重ねている。「爽やかさ」から男性としての「渋さ」を醸し出した彼の写真もまた読者の注意を惹くことであろう。但し、内容は爽やかさとはきわめて対極にある。一貫してぞくぞくとした恐怖心を植え付けてくれる。登場人物の一人における心の闇を描いた箇所が端的に示しているように、「恐怖と快楽とは紙一重」なのだ。
読み進めれば直ちに分かるように、表題『美しき凶器』とは、ある外国人女性のことを指している。むろんただの女性でない。肉体的に洗練化されたサイボーグと称してよい(映画『ターミネーター3』に登場した女性を思わず想起したが、その女性のきちんとしたモチーフは存在するらしい)。「主人」を殺害された復讐を果たすべく、全く手段を選ばない彼女の言動はたしかに常軌を逸している。じわりじわりと追い詰められてゆく男女併せて4人の心境を察すると、生きた心地がしなかったであろう(一人だけそうでない人間がいた。その人物の密かな計画も見物だった)。
彼らは元トップアスリートであるが、選手としての追い詰められた状況から禁断の○○に手を染め、それは結果的にその後の人生の歯車を確実に狂わせてゆく。かつての栄光は実は「虚構」に過ぎず、それを真に悟ったときには自らの「死」を代償とせねばならないというわけだ。本書の背景にあるのは、そんな儚く悲しい人生模様の赤裸々な活写ではないのか。とはいえ、そのサイボーグと称された女性が最後の最後で発したセリフは実に人間的であった。東野作品は全体としての読み応えとともに、情緒的なエンディングを多用する印象が私にはある。だから彼の作品は途中で頓挫してはいけないのだ。「時代性」を反映した作品であることも見過ごしてはならないだろう。
映像でも見たい作品
築き上げた地位と名声の為に忌まわしい過去を葬り去ろうする四人の元スポーツ選手が逆に返り討ちに会うとある意味陳腐なストーリー。ただ、驚異的な肉体能力を持ちその四人を狙う娘の登場によって、ミステリーというよりはスリラー小説となった感じがする。実際によく話題になるドーピングも肉体はもちろん精神的な改造も可能するものかとその可能性を感じずにはいられなかった。
物語には最後に一ひねりも二ひねりもあり、盛り上がって結末を迎えるが、娘(タランチュラ)の最後の一言はそれまでなんの感情も表に出さなかったロボットの様な人間の唯一の感情表現であり、娘の悲しい過去を垣間見せられた感じだった。
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