ベイジン〈上〉
カスタマーレビュー
おすすめ度:
やっぱりスゴイ!!
(2008-11-04)
『マグマ』と同じ、エネルギー問題に切り込んだ作品ですが、前者以上の物語スケールや登場人物への肉薄等、物語を読み進める中で大いに圧倒されました。
エネルギー問題に関する深い洞察を織り交ぜ、『マグマ』の地熱にしても『ベイジン』の原子力にしてもテクニカル面での精緻な調査もされており、真山氏らしいリアルさがを追求されておりました。且つ相変わらず魅力的な登場人物が醸し出す強烈な個性のハーモニーを奏でています。しかも、それらの濃重厚な構成にもかかわらず、物語のテンポは異常なほど軽快ときているとは。。
やっぱりスゴイ!!
北京オリンピック開会に照準を合わせた緊迫のドラマのはじまり
(2008-11-02)
縁起のいい「8」の連なるこの日に向け、2つの国家的プロジェクトが中国ですすめられていました。
ひとつは北京(ベイジン)オリンピック。もう一つは、世界最大級の出力を持つ紅陽核電(原子力発電所)の建設です。
オリンピックの開会式場に特設された「和諧の光」へ送電を開始しようとしたとき、一人の日本人が原子炉を止めるように指示しました。技術顧問として原発建設に協力していた田嶋伸悟です。
中国側の総責任者のドンは、運転を続行させようとします。
なぜこのタイミングで停止させるのか。
ドンの質問への田嶋の答えは、
「絶対的な安全が確認できない以上、停めるしかない」
というものでした。
停電時に起動するはずの非常用ディーゼル発電機が規定の300倍の失敗率。なのに報告書には規定をクリアしたと嘘が書かれている。自家発電の軽油が何者かに抜き取られている。何より気になるのが、施設内の清掃がこの期に及んでも徹底されない。
田嶋が理由をならべあげましたが、所員たちも呆れるばかりです。
掃除が不十分だからといって原子炉をなぜ停めなければならないんだ。
とうとう、責任者のドンは田嶋の身柄を拘束し排除することを命じました。
「事故が起きた時、誰もあんたを庇ってはくれないんだ。
私の判断を信じなさい」
不吉なことばをのこして、田嶋が連れられていきます。
オリンピックの開催という実際のできごとに、国の体面をかけた原子力発電所の建設というフィクションを交えた、緊迫したドラマの幕開けです。
もう北京オリンピックは終わってしまいましたが、この緊迫感に変わりはありません。
お勧めです!
エネルギー問題の入門書?
(2008-10-19)
マグマと合わせて読んで欲しいですね。
実際にこれからのエネルギーをどうするのか?
凡人の私でも実に考えさせられました。
エピローグが読みたいような読みたくないような・・。
日本の技術屋の心意気
(2008-10-01)
一気にとはいきませんでしたが、数回に分けて短期間で読み終えました。
2人の主人公が登場するのがこの小説の特徴でしょうか。
日本の技術者と中国の若手官僚。
この二人がそれぞれの立場で苦しみながら、最後には人間として共通の考えに達し、友情を芽生えさせるという物語です。
小説なのでフィクションのはずなのですが、読後も読んでいる最中も、この小説の舞台になった場所が現実のどこかにあると感じられてしかたがありませんでした。
北京オリンピックの興奮が冷めやまない今だからこそでしょうか…
それだけではなく、作者の描写力が読者にそう感じさせているような気がします。
ドライでテンポの良い文章で読み手を飽きさせませんし、内容もなかなか知ることのできない中国の官僚社会が垣間見られて非常に良い小説だと思います。
ただ、少し残念なのは、主人公を取り巻くヒューマンドラマに欠けたかなと感じさせる点です。
日本人技術者の家族について(特に主人公を影ながら支えているはずの奥さんについて)、中国人官僚の生い立ちについて、もっと知りたかったというのが本音です。
別の章を立てて詳しく書いても良かったかもしれません。
ただ、そうなると長編大河小説になりかねないので著者はあえてそうしなかったのかもしれませんね。
その点を踏まえると、テーマを絞った小説としては冗長であり、大河小説としては物足りないというのがこの小説の評価になるのでしょうか。
ラストの終わりかたといい、もう少し違う構成のほうが良かったかな。
なので、星4つです。
腐敗と偽装がもたらす恐ろしさ
(2008-09-03)
北京五輪に合わせた原発がテーマなんて
いかにも売れ線を狙ったいやらしい本だと思っていたが、
「ハゲタカ」の著書であるからきっとおもしろいに違いないと思ったが、
想像をはるかに超えたおもしろさ、素晴らしい本だった!
読んで思ったのはこれは中国のことだけでなく、
今の日本のことではないかと。
ひとつひとつの腐敗や偽装やミスは小さくても、
それが積み重なるとどんな恐ろしい事態を招くのか・・・。
戦慄を覚える衝撃の本だった。
そしてこの本が単なる中国批判本でもなく原発批判本でもなく、
人間の生き様や社会の有り様などをテーマにした、
実に奥深い物語で、読んでいてとても興味深く読み進められた。
ハードカバーで上下巻あわせて3000円以上もするけど、
それだけの価値のある珍しい素晴らしい本でした。
おすすめ度:
やっぱりスゴイ!!
『マグマ』と同じ、エネルギー問題に切り込んだ作品ですが、前者以上の物語スケールや登場人物への肉薄等、物語を読み進める中で大いに圧倒されました。
エネルギー問題に関する深い洞察を織り交ぜ、『マグマ』の地熱にしても『ベイジン』の原子力にしてもテクニカル面での精緻な調査もされており、真山氏らしいリアルさがを追求されておりました。且つ相変わらず魅力的な登場人物が醸し出す強烈な個性のハーモニーを奏でています。しかも、それらの濃重厚な構成にもかかわらず、物語のテンポは異常なほど軽快ときているとは。。
やっぱりスゴイ!!
北京オリンピック開会に照準を合わせた緊迫のドラマのはじまり
縁起のいい「8」の連なるこの日に向け、2つの国家的プロジェクトが中国ですすめられていました。
ひとつは北京(ベイジン)オリンピック。もう一つは、世界最大級の出力を持つ紅陽核電(原子力発電所)の建設です。
オリンピックの開会式場に特設された「和諧の光」へ送電を開始しようとしたとき、一人の日本人が原子炉を止めるように指示しました。技術顧問として原発建設に協力していた田嶋伸悟です。
中国側の総責任者のドンは、運転を続行させようとします。
なぜこのタイミングで停止させるのか。
ドンの質問への田嶋の答えは、
「絶対的な安全が確認できない以上、停めるしかない」
というものでした。
停電時に起動するはずの非常用ディーゼル発電機が規定の300倍の失敗率。なのに報告書には規定をクリアしたと嘘が書かれている。自家発電の軽油が何者かに抜き取られている。何より気になるのが、施設内の清掃がこの期に及んでも徹底されない。
田嶋が理由をならべあげましたが、所員たちも呆れるばかりです。
掃除が不十分だからといって原子炉をなぜ停めなければならないんだ。
とうとう、責任者のドンは田嶋の身柄を拘束し排除することを命じました。
「事故が起きた時、誰もあんたを庇ってはくれないんだ。
私の判断を信じなさい」
不吉なことばをのこして、田嶋が連れられていきます。
オリンピックの開催という実際のできごとに、国の体面をかけた原子力発電所の建設というフィクションを交えた、緊迫したドラマの幕開けです。
もう北京オリンピックは終わってしまいましたが、この緊迫感に変わりはありません。
お勧めです!
エネルギー問題の入門書?
マグマと合わせて読んで欲しいですね。
実際にこれからのエネルギーをどうするのか?
凡人の私でも実に考えさせられました。
エピローグが読みたいような読みたくないような・・。
日本の技術屋の心意気
一気にとはいきませんでしたが、数回に分けて短期間で読み終えました。
2人の主人公が登場するのがこの小説の特徴でしょうか。
日本の技術者と中国の若手官僚。
この二人がそれぞれの立場で苦しみながら、最後には人間として共通の考えに達し、友情を芽生えさせるという物語です。
小説なのでフィクションのはずなのですが、読後も読んでいる最中も、この小説の舞台になった場所が現実のどこかにあると感じられてしかたがありませんでした。
北京オリンピックの興奮が冷めやまない今だからこそでしょうか…
それだけではなく、作者の描写力が読者にそう感じさせているような気がします。
ドライでテンポの良い文章で読み手を飽きさせませんし、内容もなかなか知ることのできない中国の官僚社会が垣間見られて非常に良い小説だと思います。
ただ、少し残念なのは、主人公を取り巻くヒューマンドラマに欠けたかなと感じさせる点です。
日本人技術者の家族について(特に主人公を影ながら支えているはずの奥さんについて)、中国人官僚の生い立ちについて、もっと知りたかったというのが本音です。
別の章を立てて詳しく書いても良かったかもしれません。
ただ、そうなると長編大河小説になりかねないので著者はあえてそうしなかったのかもしれませんね。
その点を踏まえると、テーマを絞った小説としては冗長であり、大河小説としては物足りないというのがこの小説の評価になるのでしょうか。
ラストの終わりかたといい、もう少し違う構成のほうが良かったかな。
なので、星4つです。
腐敗と偽装がもたらす恐ろしさ
北京五輪に合わせた原発がテーマなんて
いかにも売れ線を狙ったいやらしい本だと思っていたが、
「ハゲタカ」の著書であるからきっとおもしろいに違いないと思ったが、
想像をはるかに超えたおもしろさ、素晴らしい本だった!
読んで思ったのはこれは中国のことだけでなく、
今の日本のことではないかと。
ひとつひとつの腐敗や偽装やミスは小さくても、
それが積み重なるとどんな恐ろしい事態を招くのか・・・。
戦慄を覚える衝撃の本だった。
そしてこの本が単なる中国批判本でもなく原発批判本でもなく、
人間の生き様や社会の有り様などをテーマにした、
実に奥深い物語で、読んでいてとても興味深く読み進められた。
ハードカバーで上下巻あわせて3000円以上もするけど、
それだけの価値のある珍しい素晴らしい本でした。
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